灰持酒

灰持酒とは・・・

灰持酒(あくもちざけ・あくもちしゅ・Akumochizake)は、
醸造したもろみに灰を混入させることにより、もろみの酸を中和し、保存性をよくする製法で作られた酒。

灰を入れることにより、糖とアミノ酸のアミノカルボニル反応(褐色反応)が促進、
赤褐色を帯びてくるのが特徴。独特な風味で、濃厚な甘みと香り、旨味を持つ。

温度管理や衛生管理が現代のように行われていなかった時代には、
日本酒製造の過程で、酒が「火落菌(ひおちきん)」に侵される「火おち」が起こることもあった。

「火落菌」は、酒を濁らせ、品質を劣化させる乳酸菌の一種で、腐敗の原因となる。
この「火おち」を防ぐために行われたのが、灰を投入するという方法で、
アルカリ性の灰を入れることにより、酒が中和され、「火落菌」の育成が阻害されるという、先人の知恵だ。

(一般的な清酒は火おちを防ぐ方法として、江戸時代頃より低温殺菌が行われるようになり、「火持酒」とも呼ばれた。)

酒本来の酸性から、微アルカリ性に変わることにより、酒としての保存性が高まるのみならず、
「肉や魚を煮ても、身がしまりすぎずに、ふっくらと柔らかく仕上がる」
「ホウレン草等のあくが強い野菜を煮ても、色が変わりにくく綺麗に仕上がる」等の
効果もあり、その濃厚な旨味、甘みも相まって、
料理を美味しく仕上げる「料理酒」としての高い能力も発揮する。

温度管理や衛生管理などの技術や機材の向上とそれに伴う清酒の品質の向上、
さらに人々の、清酒や麦酒等への嗜好の変化などの理由で、
次第に灰持酒の消費量は減り、それに伴って生産量も減少、
さらに戦時中の食糧統制により、灰持酒の生産は中止を余儀なくされた蔵も多く、
廃れてしまったケースも多いが、西日本を中心に今も生産は続けられている。

現在、国内で生産されている代表的な灰持酒は、
赤酒(熊本)、地伝酒(島根)、地酒(鹿児島)など。

いずれも独特な香りと濃厚な甘み、旨味を持ち、
お屠蘇(赤酒)や酒寿司(地酒)、つけ揚げ(地酒)、あご野焼き(地伝酒)など、
伝統的な飲み物や郷土料理等に用いられている。

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