こけら寿司
こけら寿司とは・・・
こけら寿司(杮寿司・杮ずし・杮鮨・こけら鮨・こけら寿し・コケラズシ・こけらずし・Kokerazushi)は、
魚の身や野菜、シイタケなどを薄く切ったものを酢飯(寿司飯)の上に並べて作る押し寿司の一種。地域によって様々な種類があり、押し寿司のほか、なれずしもある。
1. 高知県の東部、安芸郡東洋町の郷土料理。郷土寿司。サバなどの焼魚の身を柚子酢にほぐし入れて寿司飯にし、その上に椎茸やニンジン、薄焼き卵などを色とりどりにトッピング、それを幾段にも重ねたもの。米酢を使わずに柚子酢のみで作る伝統的な郷土寿司。「こけら寿司」の「こけら」は、木の葉、端切れ、材木を削った時に出る切り屑というような意味で、木の葉が重なるように重ねて作る寿司、ということで「こけら寿司」と呼ばれるようになったといわれる。幾層にも重ねて作るので、「喜びが重なる」にかけて、祝い事やお祭り、神事の際などには欠かせないという、おめでたい料理。東洋町では、祝い事や祭りで客をもてなす際には、皿鉢料理の最初にこの「こけらずし」が盛られたものという。
東洋町以外にも、各地に魚や野菜、筍等を薄切りにして寿司飯の上にトッピングして重ねて作る「こけら寿司」「杮寿司」「鱗寿司」「鱗鮨」「こけら鮨」と呼ばれる郷土寿司、ちらし寿司の一種があり、いずれも祝い事などの際に多く食されている。これらは「押しずし」「箱ずし」の原型とも考えられており、それぞれ地域の旬のものを使い、客人をもてなす為に作られてきたもの。
2. 和歌山県和歌山市松江地域に伝わる伝統食。主に秋祭りの際に食される行事食で、エビや魚を素焼きにしてほぐしたもの(そぼろ)と寿司飯を幾段にも重ねて作る寿司。箱寿司の一種。
3. 和歌山県和歌山市雑賀崎の郷土料理。底びき網漁で漁獲される「エソ」を材料に、包丁で丁寧にエソを叩き、炒って砂糖、みりん、酒、醤油などで味をつけそぼろにし、それを用いて作られる郷土寿司。一人前の小さな押し寿司の型に入れて作られる。祝い事や祭りの際に客をもてなす為に作られてきた。包丁でとんとんと叩いて作る事から「とんとん寿司」とも呼ばれる。
4. 岡山県の中和村(現・真庭市)に伝わる郷土料理。郷土寿司。しめサバ(かつてはシイラが用いられていた)を斜めにスライスし、それをうるち米ともち米を混ぜて作られる寿司飯の上に乗せて、さらに熊笹の葉の上にのせたもの。現在は、地域の農産加工グループ「ハッスルかあちゃん工房」で注文生産している。その見た目が、手斧(ちょうな)で削った木のくず(こけら)に似ていることから、「こけらずし」と呼ばれるようになったという。10月9日に行われる「秋祭り」の際に食される料理として、地域に伝えられてきた郷土寿司。
5. 滋賀県長浜市の旧びわ町南浜地区(現・長浜市南浜)に伝わる郷土料理。琵琶湖産のビワマスの切身を使って作られるなれずし。ビワマスを用いて作られる発酵食品。長浜市南浜地区で伝統的に食べられている伝統料理、郷土食。滋賀の郷土料理。
6. 徳島県の海南町に伝わる郷土料理、郷土寿司。「力寿司」とも。
7. 主に大阪などで用いられる寿司屋の用語で「箱寿司」(箱ずし)のこと。「ケラ」「ケラ寿司」。
8. 奈良の郷土寿司「柿の葉寿司」のこと。