焼き干し
焼き干しとは・・・
焼き干し(焼き干・焼干・焼きぼし・やき干し・やきぼし・Yakiboshi)は、
素焼きにした魚を天日干しなどで乾燥させたもの。魚を炭火などで素焼きにし、さらに天日干し(または機械乾燥)で数日かけて乾燥させたもの。あごの焼き干し(トビウオの焼き干し)などが知られる。主に出汁を取るのに用いられ、煮干しに比べると、焼いてある(焼き焦がしてある)分、「香ばしさ」が加わり、魚臭さが少なくなっていることも多い。出汁を取るほかに、炙って食べたり、熱燗などに入れて風味を楽しむ場合もある。
焼き干しは、古くから作られてきた保存食の一種、魚の乾物の一つ。素焼きにしてから乾燥させることにより、腐敗しにくくなり、保存性が高まる。特に山あいの地域では、川の魚を焼き干しにしたものは、重要なたんぱく源の一つであった。現在では出汁に用いられることが多いが、昔は囲炉裏の火で炙ったり、水で戻して煮て食べたりと、特に冬場の食べ物が少ない時期などに貴重なたんぱく源の一つとして重宝された。沿岸部では焼いてから天日干しで乾燥させることも多いが、山あいの地域では素焼きにしてから、囲炉裏端に置いたり、囲炉裏の上などに吊るして乾燥させる場合も多い。
鮎や岩魚などの川魚(淡水魚)の焼き干しや、ハゼやイワシ(カタクチイワシ、ウルメイワシ)、アジ、サバなどの海魚の焼き干しなど、日本の各地に様々な魚を用いた「焼き干し」があり、それぞれ「鮎の焼き干し」「イワナの焼き干し」「ハゼの焼き干し」「イワシの焼き干し」「アジの焼き干し」などと呼ばれ、市販もされている。また、焼き干しを粉末に加工した「焼き干し粉末」もあり、味噌汁や汁料理を作る際に手軽に使えるようになっている。そのほか、ドジョウの焼き干し、ワカサギの焼き干しなどもある。
焼き干しとご当地ラーメン
山形県の酒田市で提供されている「酒田ラーメン」は、トビウオの焼き干しで取った出汁をスープに用いていることで知られる。また、青森県の津軽地方で食べられている「津軽ラーメン」も、鰯の煮干しと共に、鰯の焼き干しで取った出汁を用いている店も多い。青森県の脇野沢村では、その名も「脇野沢焼き干しラーメン」という、脇野沢の特産である「イワシの焼き干し」で取った出汁を用いたラーメンが提供されている。