豆味噌
豆味噌とは・・・
豆味噌(豆みそ・まめ味噌・まめみそ・Mamemiso)は、
大豆を発酵させて作られる味噌。大豆と麹、塩で作られる味噌。一説には、千数百年前の奈良時代以前から作られてきた「最も古いタイプの味噌」ともいわれる味噌。米味噌や麦みその熟成期間が数か月~1年ほどであるのに対し、豆味噌は6か月以上、長いものは2~3年ほど熟成させる、長期熟成タイプの味噌であるのも特徴の一つ。主に愛知県、岐阜県、三重県などで用いられる。
主な産地は愛知県で、特に「八丁味噌」が有名。「八丁味噌」のほか、「三州みそ」「名古屋みそ」「赤みそ」など様々な名称がある。
豆味噌は、愛知県では、田楽(味噌田楽)やカツ(味噌カツ・みそ串カツ)、うどん(味噌煮込みうどん)、土手煮、みそおでん、みそきしめん、みそちゃんこ鍋、みそすき焼きなど、様々な料理に用いられる。全国的にはシジミ汁やナメコ汁、豆腐汁などに用いられる場合が多い。米や麦などのデンプン質がないために甘みが少なく、塩分も多いので、料理に用いられる際には「ザラメ」などの砂糖が加えられることが多く、それが、例えば「名古屋めし」などに代表される「こってりと甘くて濃い」豆味噌を用いた料理の味わいを特徴づけている。
愛知県で、米や麦を用いない豆だけの「豆みそ」の文化が発達した背景には、愛知県の気候が高温多湿であり、味噌作りの際の重要な工程である「製麹過程」で腐敗することが多かったことが挙げられるという。高温多湿な環境下でも安定した味噌造りを行うために、大豆のみで「味噌玉」を作り、麹を味噌玉に直接振り掛けて「製麹」をする「味噌玉造り製法」が考案され、それが定着したとされる。
豆みそと八丁味噌の違い
「豆みそ」は米や麦を用いず、伝統的に大豆だけで作られている味噌の総称。「八丁味噌」は、岡崎で作られる「豆味噌」の一種で、岡崎の中心である「岡崎城」から西に八町(1町=約109メートル)離れた場所にあった「八町村」(現・愛知県岡崎市八帖町)で作られていた味噌が発祥とされる味噌。
湧き水が豊かで、東海道と矢作川の陸と川の交通両方の要衝であったこの地では江戸時代初め頃から、東海道(旧東海道)に面してむかい合った2軒の味噌蔵で味噌が製造されており、その味噌が「八丁味噌」と呼ばれる豆味噌の銘柄の一つとなった。現在は、製法・原料・熟成などに関して、国が定めた基準を満たした豆みそのみが「八丁味噌」と呼ばれる。