天ぷら
天ぷらとは・・・
天ぷら(天麩羅・天婦羅・てんぷら・テンプラ・Tempura)は、
魚介類や肉類、野菜類、根菜類、山菜類、餅、豆腐などに卵と水、小麦粉をあわせたもので衣をつけ、菜種油や胡麻油などで揚げた料理。日本料理を代表する料理の一つ。揚げ料理でありつつ、食材を蒸す調理法でもある。天ぷらの種・ネタ(食材)としては、多種多様なものが用いられ、衣としても小麦粉と卵のほかに、あられ、蕎麦、海苔(磯辺揚げ)なども用いられる。
そのまま、塩や、大根おろしや生姜おろしを添えた「天つゆ」につけて食するほか、丼に盛ったご飯の上にのせた「天丼」や、温かいかけ蕎麦の上に天ぷらをのせた「天ぷらそば」、同じく温かいうどんの上にのせた「天ぷらうどん」、冷たいそば(もりそば・ざるそば)やうどんと共に食する「天もり」「天ざる」「天せいろ」、土鍋に張った出汁に蒲鉾やほうれんそう、卵などと共に天ぷらをのせた「鍋焼きうどん」、ご飯の中に天ぷらを具として入れたおむすびである「天むす」など、様々な料理の主役や準主役となる。
天つゆ
天ぷらそば
天ぷらの由来
天ぷらの発祥は詳しくはわかっていないが、安土桃山時代に日本にやってきたポルトガル人やスペイン人の商人や宣教師が伝えたともいわれる。その名の由来にも諸説あり、「味をつける」「油を用いて調理する」といった意味を持つポルトガル語の temperar(テンペラール)を語源とする説や、ポルトガル語で調味料・味を意味する「tempêro」、キリスト教で「天上の日」を意味し、その日には油で揚げた魚を食べる習慣のあったという「Tempora(テンポラ)」を語源とするという説などがある。
天ぷらに用いられる主な食材
◆魚介類・・・・・・・・・海老(クルマエビ(才巻海老)・大正えび、芝エビ等)、イカ(紋甲いか・あおりいか・ホタルイカ・スルメイカ・ヤリイカ、ケンサキイカ等)、ゲソ(イカの足)、アナゴ、鱧(はも)、キス(鱚)、ギンポ、コチ、白魚、ぐじ(アマダイ)、蟹、牡蠣(かき)、小柱、ホタテ、小鮎、サヨリ、ワカサギ、メゴチ、ハゼ、フグ、ナマズ、ししゃも、こうなご、タコ、ウニ、海苔、岩のり、ワカメ、白子(鯛・鱈・ふぐ等)など。
キス天(キスの天ぷら)
◆肉類・・・・・・・・・・鶏肉、豚肉、牛肉、レバー(鶏や豚のレバー)、砂肝(砂肝の天ぷら)など。
◆野菜、根菜、山菜類・・・茄子、人参、玉ねぎ、長ネギ(白ネギ、青ネギ、太ネギ、九条葱(九条ネギ)等)、かぼちゃ、さつま芋、ゴボウ、山芋、里芋、海老芋、大和芋、長芋、ジャガイモ、プチトマト、春菊、いんげん、トウモロコシ(とうもころし)、キャベツ、ミョウガ、青シソ、万願寺とうがらし、九条葱、紫ずきん、レンコン、アスパラガス、枝豆、三つ葉、ししとう(獅子唐)、おくら、ピーマン、ゴーヤ、菜の花、たらの芽、フキノトウ、こしあぶら、こごみ、山にんじん(シャク)、シュンラン(春蘭)、かんぞう、イタドリ(すかんぽ)、ノビル、葉わさび、みず(赤みず・青みず)、しおで、シドケ、ニリンソウ、わらび、うるい、よもぎ、ウド、ハリギリ、行者にんにく、土筆、ヤマナ(トリアシショウマ)、オオバコ、姫竹(ネマガリタケ)、筍(タケノコ)、雁足(がんそく)、銀杏(ぎんなん)、百合根など。
◆キノコ類・・・・・・・・椎茸、松茸、舞茸、エリンギ、エノキ、しめじ、ナラタケ、ブナハリタケなど。
◆その他・・・・・・・・・豆腐、ちくわ、餅、コンニャク、かまぼこなど。
天ぷらの変わり種
◆そのほか、変わり種や地域の郷土食、店の名物として、アイスクリーム、饅頭、ビスケット、干し柿、納豆、アケビ、卵、魚肉ソーセージ、赤ウインナー、ポールウインナー、チーズ、モズク、梅干し、らっきょう、島らっきょう、アーサー(アーサ、あおさ、ヒトエグサ)、リンゴ、むかご、あけび、栗、いちじく、明太子、紅ショウガ、もみじの葉、煮梅、生麩、さきいか、お茶の新芽、おでん、寿司、高野豆腐なども「天ぷら」として食されている。
紅ショウガの天ぷら
天ぷらの呼び名・呼び方
食材を頭に関して「~の天ぷら」または「~天」と呼ぶ。
例:
エビを天ぷらにしたもの→「エビの天ぷら」「海老天」
ゴボウを天ぷらにしたもの→「ごぼうの天ぷら」「ごぼ天(ごぼう天)」
イカを天ぷらにしたもの→「イカの天ぷら」「イカ天」
イカの足(ゲソ)を天ぷらにしたもの→「イカのげその天ぷら」「イカゲソ天」「ゲソ天」
など。
天ぷらのタネとネタ
天ぷらのメインとなる食材をタネ、またはネタというが、これは「タネ(種)」が元の言葉。そこから派生して、職人やお店の人が使う隠語としての「ネタ」が一般化した。
様々な天ぷら 揚げ物
小柱や桜エビ、小エビ、アサリのむき身などの小さなものやバラバラな野菜(千切りにした人参やジャガイモ等)などを一塊(ひとかたまり)にまとめて揚げたものを「かき揚げ」、海苔で巻いたり揉み海苔をまぶして揚げたものを「磯辺揚げ」、蓮根やナス、はんぺんなどで挟んで揚げたものを「はさみ揚げ」と呼ぶ。
レンコンのはさみ揚げ
Memo
魚のすり身を揚げたもの(さつま揚げ・薩摩揚げ)を北海道の一部や関西、中国、四国、九州・沖縄などでは「天ぷら」(またはつけ揚げ・ちき揚げ)と呼ぶ。また長崎で「天ぷら」と呼ばれる長崎天ぷらは、一般的な天ぷらと異なり、衣に味がついているのが特徴。通常は小麦粉と水、卵で作る天ぷらだが、長崎のものは小麦粉と卵と水に加え、砂糖、塩、醤油、酒などの調味料が入り、その見た目や味わいはフリッターに近い。同様に沖縄でもフリッターに近い衣の揚げ物が「天ぷら」と呼ばれ、日常的に食べる食べ物として親しまれている。